OFDMは、図1にその原理を示すとおり、IFFT(逆フーリエ変換)で変調し、FFT(フーリエ変換)で復調します。
(1) |
送信信号のビットストリームを複素平面にマッピングします。例えば、64QAMであれば、信号を6ビットづつに区切り、図のような複素平面に64点でマッピングします。この複素平面の横軸・縦軸は振幅の単位です。 |
(2) |
複素平面の横軸を実数部、縦軸を虚数部としてIFFTをかけます。例えば、Mode
1であれば、最初の6ビットが直流、次の6ビットが1サイクル、その次の6ビットが2サイクル・・・・そして、最後の6ビットが1404サイクルの正弦波に変換されます。 |
(3) |
この信号をD/Aしてから、所望の周波数にアップし、アンテナに送り出します。IFFTの出力は、実数部と虚数部がありますので、所望の周波数にアップするのに直交変調を用います。 |
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図1 OFDMの原理 |
復調は変調の逆の過程をたどります。送信側でD/Aされた信号が、受信機で正しくA/Dされれば、元のビットストリームに戻ることが容易に理解されます。しかし、伝送路には色々な雑音や妨害があり、必ずしも、正しくA/Dされるとは限りません。その妨害とは、
1. |
雑音(大気中には色々な雑音が含まれます) |
2. |
マルチパス(電波の反射)やフェージング(電波の強弱) |
3. |
ドップラーシフト(移動受信で生ずる電波の周波数変動) |
4. |
混信(近くに同一チャンネルや隣接チャンネルの放送がある場合) |
などがあります。これらの妨害は、もともとデジタル信号ですので、ある程度は許容できます。地上デジタル放送の研究とは、これらの妨害に対して、高い耐性をもつような方式や対策の研究といえます。 |
【ミニ知識】
OFDMのキャリア数は、フーリエ変換の次数に等しく、次のとおりです。
Mode 1: |
108×13+1=1405 |
(約4kHz間隔) |
Mode 2: |
216×13+1=2809 |
(約2kHz間隔) |
Mode 3: |
432×13+1=5617 |
(約1kHz間隔) |
ここで、「×13」とは13セグメントを使用した場合、「+1」とはキャリヤ再生用信号です。 |